長野県朝日村でがんばってらっしゃる北九州出身者に出会うことができました。
正しくは、カラマツだけでなく「草木染め」作家の大久保匡晃さん。門司のご出身です。
カラマツや赤ジソ、アカネなど、朝日村で採れた植物を使って染物をし、『草木染めmito(ミト)~ヒト・コト・オト~』というブランドを立ち上げてらっしゃいます。
カラマツ染めって聞いたことないでしょ?たぶん大久保さんの他にやってる人、いないと思います。
こんなかっこいいグレー、ちょっと砂地っぽい土色が入ったようなグレーに仕上がります。
カラマツの木の皮を剥いで、それを煮詰めて染料を作って染めていくそうですが、「朝日村はカラマツが特産、というか山の素材で一番多い植物なので、“カラマツで何かできないかなあ”って村長も言ってて、“染物で使えるかやってみます”って試しにやったのが最初です。
そしたら“スゴイ!こんな色出るんだ”って思って」と、大久保さん。
「今まで捨てられていたところを使って何かできないか」と思っていたことが実現した喜びは大きいけれど、作業はたいへんなんだそうです。
「扱いにくいんですよ、今でも。手間が、ほかの草木に比べるとすごくかかるんです。
細かいトゲみたいなのが樹皮にいっぱいついてて、樹皮を煮出してそのまま染料にすると、全部繊維に入りこんじゃってチクチクイガイガするんです。
何とか濾してイガを取って染めるんですけど、めんどくさい…正直やりたくない…でも、いい色が出るので“やる価値あるなあ”ってやってますけどね」と、苦笑いしながら話してくださいました。
アカネや赤ジソはこんな感じに仕上がります。もちろん藍染もいろいろ。
2015年の1月から朝日村に住んでいる大久保さん。染物の素材が採れるところを探して信州にたどり着いたそうです。
「東京だと、素材を買って、染めて、売る、となる。ちょっとやってる意味がわからなくなって。
染めるための素材はわざわざ買わなくても、田舎に行けば山に入ればいくらでもあるので、そういう生活をしようということで妻とこっちに来ました。
その場所で採れたものを使おうと」と、大久保さん。
朝日村に住んでみて、消防団や地区の集会など体験したことがないことがたくさんあった、と言います。
また「近所の人が、僕がいない時でも玄関に野菜を置いててくれたりして。村・地区全体が家族ぐるみで付き合ってる感じ」だそう。
大久保さんは、ご自身の仕事の特性を活かして、朝日村の『地域おこし協力隊』としての活動もなさっています。
それが、草木染め体験のワークショップ。私も(今回の取材チームを含めて)藍染にチャレンジさせてもらいました。
デザインを決めて、木綿の晒しを輪ゴムでしばって、
染料の中に浸けこみます。みんなで「いーち、にーい…」と数えながら、さらに浸けこみます。
絞ってまた浸けこんで…途中で輪ゴムが外れても全然OK。縛りなおせばいいだけでなく、その方が模様の出かたに変化が出ておもしろいくらいなんですって。
さらに浸けこみ、仕上げの濃淡に合わせて調整して、
水でざぶざぶ洗って(これが冷たいんだ!)
輪ゴムを外してみます。ドキドキ…。
さあ、完成!
できばえは十人十色。それぞれが大満足!旅した思い出を作品にして持って帰るのって、なんだか楽しい。嬉しい。これは最高のお土産です。
大久保さん、ありがとうございます~。
□ 朝日村 →
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