伊那市では農家民泊の取り組みが盛んなのですが、その中でもリーダー格の「蔵の宿みらい塾」に泊めていただきました。
ここ、『農林漁家民宿おかあさん100選』に選ばれている宿なんです。築100年を超える古民家と蔵が宿として提供されています。
母屋の玄関をくぐるとそこは板の間で囲炉裏がきってあります。
この時点で、なんだか親戚の家に遊びにきたような感覚!宿のおかみさん、いやお母さん!の市ノ羽幸子さんは「もうね。玄関を入ってきた時に親戚みたいになってるんですよ。
ホームページやブログなんか見てくれてたりするでしょ、みなさん。いろんな人が、そういうの見てくれた時からつながってるんですよ。
ご縁ができてるんだよね」と、笑っておっしゃいます。そう。なんとなく心がゆるゆるとほどけていく感じ…安心感みたいなも
のに滞在中ずっと包まれました~。
宿の、いえお家の造りと同時に目を引くのが、テーブルの上に飾られたアルストロメリアの花。
実は市ノ羽さん家って、お花業界の人にはよーく知られるアルストロメリア栽培の名人なんですって。
さて、部屋に荷物を置いたら、囲炉裏端で宿泊者がみんな集まって晩御飯をいただきます。
幸子さんの手作りメニューが次々と、モリモリと、出されます。これがもうおいしくておいしくて!食が進んでたいへん(笑)!食べるごとに元気になっていく感じ。
なかでもとうもろこしのおいしさには衝撃を受けました。こんなにおいしいとうもろこしは生まれて初めて!
甘みといい香りといい、しゃき×ぷちっ×じゅっとした食感といい…。忘れられない味です~。
翌朝、お父さんの野菜畑を見せてもらいました。
すごい!野菜たちが元気…てかデカい!プチトマトの茎がトマトの茎以上にがっしり!こんなにしっかり太くていいのか?プチトマト!?
そして、日本一と称される噂のアルストロメリアのハウスがこれ。ええええっ!?アルストロメリアって、こんなに背丈は伸びないでしょう???
部屋に飾ってあった額に『土をかまわず 木をいじり 根を枯らす』と書いてありました。幸子さん曰く「一番大事なことなの。
植物で根っていうのは土ですよね。力をそこのところに注がなんで、地上部のもんばっかりに気をとられていると根っこも枯れちゃいますよ~ってことなんだよね。
お父さんもよく言いますけれど」と。ううむ。みらい塾のごはんを食べた後だと、その言葉の沁みこみ具合が格別です。
そういえば、お父さんの畑の土もふわふわ柔らかくて気持ちよかったなあ。お腹の中と足の裏で、この言葉と実感させてもらいました。
あ。畑でプチ収穫も体験させていただいた後の朝ごはーん!最高においしかった~。そして、幸子さんお手製のシフォンケーキとハーブティーも。
「ここで採れた野菜で作る」みらい塾の食事は、特に子供たちへの影響大なんだそう。お客さんの中には「うちの子野菜嫌いで全然食べられないんです。
だから子供の分の食事はいりません」って言うひとたちがいるらしいんです。が!みらい塾に来ると、そんな子たちが“もりもり”“ぱくぱく”食べちゃうんです。
にんじんもピーマンも、なーんでも!それまで食べたことのない野菜も!「そういうの、私たちも喜びですよ。
“よかったねー”って、お父さんも私も。子供のお母さんが喜んでるのもまた嬉しいの」と幸子さん。
だから、親が「子供の分の食事はいりません」って言っても、4~5歳児だったら一人前用意しとかないと、親の食事が全部子供に取られちゃう羽目になる…そんな場所なんです。すごいでしょ。
「民泊ってたいへんでしょ?」ってお尋ねしたら、幸子さん、「お父さんも私も自然体でやってるの。
お客様をとにかくお迎えするから!って気持ちばっかりでやってると、すごく疲れちゃうでしょ?だから休める時には休むし、お客さんが話したいなって時には夜中までお話するし」と。
また「本物にはこだわってるんですよ。とにかく土にこだわっていて。ここは水も空気もいいし、星空もきれいだし。
そういうものプラス、例えばみらい塾の母屋だとか全てがおもてなし?アルストロメリアの花もそうだけど。
そんなに特別なことをやってるんじゃないけど、でも居心地のいい空間というものを提供したいなって思ってるし。
それは、自分が住んでいて自分がまずは居心地のいい空間でないと来てくださったお客さんも居心地いいとは思わないんだよね。
だから、なるべくいつも自分が居心地がいいようにやってるの」と、おっしゃいます。
そんな気持ちが、周りと力を合わせて伊那のエリアとして民泊を受け入れていける土壌を作っていったんだろうなあ。民泊を計画している人や自治体のお手本ですねえ。
そして、幸子さんも応援している人物が取り組んでいるアクティビティが、山の中をマウンテンバイクで走るトレイルライド。
応援されている人=「トレイルカッター」代表の名取将さんは、マウンテンバイクガイドだけでなくトレーナーでもあり、自らコースを作り整備している人。
日本でも最高のセッティングと評されている「トレイルカッター」のコースは、南アルプス山麓をマウンテンバイクで風を感じながら走ることができます。
幅1mくらいの道なので結構スピード感があるし、顔の横を枝がすりぬけていくような気持ち良さがあるんだそう。
最高で1000mの標高差を下りてくるので、景色だけでなく温度や空気の質の変化を感じることができるといいます。
また、秋にはカラマツの黄色い落葉が積もった中を走るので、金色の山道を自転車で駆け下りるような体験ができるんですって。
名取さんは、もともと地元の人たちが山に行っていた道を、地域の人たちに話をして了解をもらったうえでコースを整備し、ガイドツアーをおこなっています。
「もともと伊那の人たちは、昔から“山道をゆるくゆるく作る”っていう作り方をしてらっしゃったんです。
それが自転車に適していたんです」と、先人に感謝しながら活動してらっしゃいます。
伊那の山と人への感謝がつまったコース、次は私も走ってみたいです~。
□ 蔵の宿みらい塾 → http://www1.inacatv.ne.jp/~ichinoha/
□ トレイルカッター → http://trail-cutter.com/
□ 伊那市観光協会 → http://inashi-kankoukyoukai.jp/
□ 信州・長野県観光協会 → http://www.nagano-tabi.net/
□ FDA フジドリームエアラインズ →
http://www.fujidream.co.jp/