高遠…といえば、桜の名所として有名な高遠城を思い浮かべる方も多いはず。その高遠にあるのが「高遠そば」。辛味大根に刻みネギ、焼き味噌で食べるというおそばなんです。実は「高遠そば」、江戸時代以前からあったのに、近年までお店で食べることができなかったというそばでした。高遠では、代々お嫁に行くとその家のそば打ちを習って、皆が集まる時、冠婚葬祭時にはそばはつきものだったといいます。ですから集落ごと、家ごとの味があり、味噌に柑橘類を入れたり、夏は大根の搾り汁のみで食べたりするのです。あまりに家庭・集落食ゆえ、商売では出されてなかったようです。しかし、この「高遠そば」、なぜか福島の会津若松にどっかりと根を下ろしていたのです。その理由は、家康の孫にあったのです。
江戸の初め、高遠藩は徳川家康の孫・保科正之公が城主でした。この保科公、二代将軍秀忠の子なのですが、側室の子だったので、正室・お江の方に知れると何をされるかわからない。その怒りから身を守るため秘密裏に養子に出されていたのでした。時が流れて三代将軍家光の世になった時、異母兄弟がいる事実を知った家光によって最上へ、さらに会津へと転封されたのです。この出世移動の中、好物の高遠そばを伴って行ったため、会津に「高遠そば」が伝わったのでした。
商売として成り立っていた会津の「高遠そば」をヒントに、本場高遠の「高遠そば」を復活させたメンバーの一人、楽座紅葉軒の高島良幸さんにいろんな話を教わり、高遠そばも食べさせていただきました。楽座紅葉軒の「高遠そば」は、まず普通のつゆでいただき、後半に味噌を入れて、味を変化させていただくのがおすすめ。まず、おそばがおいし~いっ!すんごくおいし~い!大根がいい感じ。味噌を入れるとこっくりしたつゆになって、これまた美味。おまけに、もともと楽座紅葉軒は馬肉のお店なんですが、ここの馬刺しは最高~!
また、この「高遠そば」や「ローメン」、信州そばの発祥といわれる「行者そば」のある伊那市。おそばを竹かごに入れてお鍋でしゃぶしゃぶして食べる「とうじそば」や、赤カブを乳酸発酵させた漬物=すんきを入れた「すんきそば」がある木曽。そして、「高山らーめん」や「よもぎうどん」などがある岐阜県の高山市。この3ヶ所を結ぶ国道361号線を語呂あわせで「361=山麓一の麺街道」として売り出し中です。麺街道の旅もすてきでしょ?
□ 山麓一の麺街道 → http://inashi-kankoukyoukai.jp/361menkaidou/
□ 楽座紅葉軒 → http://www7a.biglobe.ne.jp/~rakuza/
□ FDA フジドリームエアラインズ → http://www.fujidream.co.jp/