Monthly Archive for 9月, 2012

食のワンダーランド!信州(1)

9月下旬の取材中、伊那市役所で「今が旬のものが入荷してますよ」との情報が。それは「活きイナゴ」!
“あなご”じゃないよ“イナゴ”だよ。昆虫ですよ~っ!!!で、その現場を訪ねました。信州の珍味を扱う「つかはら」です。店先に置かれた直径80cmほどの桶の中に、グリーン×黒のイナゴがわしゃわしゃと…。
 

ご主人の塚原保治さんは「長野から新潟、山形まで、国産イナゴはうちしかない」と、ニコニコ笑顔。稲刈りが始まる9月下旬からが旬なのだそう。生きたまま、30×50cmくらいのネットに入れて販売されるのですが(今年は1袋3800円でした)、これがかなり売れるんだそう。多い人だと10kgくらいお買い上げだとか。「昔からの家庭の味だからね。今年は、うちはうまく煮えたよ~」なんて、話で盛り上がるんですって。ゆでて何度も洗って甘く煮つける…信州の母の味のひとつなんですね。もちろん、完成品も売ってますよ。これが、意外に美味なんです。イメージとしては小エビの佃煮みたい。日本酒のあてにして、チビチビ食べるのがよろしいかと(笑)。

 

 

そして、もうひとつ、信州を代表する珍味が…「おかいこさま」。蚕のさなぎです。繭を作ったあと中に残ってるさなぎちゃんを、甘辛く炊いた佃煮にします。昔は貴重なタンパク源。しかし、現代信州人の好き:嫌い比率は2:8くらいかと思われます。「おいしい」「あれだけは無理」「あれは鮒のエサだ」などなど、皆、言う事が違います。“昔食べさせられてた”人から“今も大好き”な人まで、年齢もバラバラ。この蚕の佃煮のおいしさを熱く語ってくれたのが、松本市役所観光温泉課の大野正幸さん。「大好きでよく食べますよ。日常食です。ごはんに載せて食べるのが大好き。お弁当にも入ってます。食感は、ちょっとパサついたような感じですが中はしっとりしてて、中から臭いような香りがして、それがおいしくて病みつきになるんです」と。え?しっとりしつつパサついて、臭いけどおいしい?矛盾してない?「芋焼酎の“クサイけどうまい”と似てます」ときっぱり。
興味はあるけど、ちょっとビビった私。だって8割の信州人が好きとは言わないんですよ。で、いざ入手したらこのビジュアル!!!

 
1人じゃ勇気が出ないので、スタジオで安藤さんと葉山さんと一緒に初体験いたしました。見た目グロいけど、意外にOK~。佃煮味がおいしい。中から出てくる匂いは、田舎のおばあちゃんちの奥の方の部屋みたいな匂い。ちょっと郷愁を誘うものがあるかも。
長野県内全域で愛されてきた「おかいこさま」。今も少しだけですが養蚕を続けている、南信州エリア・高森町の久保田昌幸さん御夫妻宅をお訪ねしました。「“さなぎ5つ食べれば卵1個分”といわれたのよ」と奥様がおっしゃいます。栄養価が高くて、良質なタンパク源だったんですね。養蚕が全盛だったのは昭和2~30年代で、稼ぎ頭であった蚕たちは、床の間の部屋にまで棚を作って育てられてたそう。「夜中に桑の葉を食べるザワザワいう音の中で寝てたねえ」とご主人が懐かしくおっしゃいます。養蚕が下火になったのは、需要減に伴って

収入になりにくくなったことと、果樹園の増加だと言います。「果樹園が多くなって殺虫剤を散布すると影響が出るんです。強力殺虫剤は蚕にもよく効きました。桑の葉に少しでも薬が付くと食べた蚕は死んでしまうんです。蚕は農薬に対して一番敏感な生物です。」そうか。蚕の佃煮は無農薬の証だといえるんですね。
信州の珍味・イナゴと蚕。ぜひ信州でご賞味ください。

 

 
□ FDA フジドリームエアラインズ → http://www.fujidream.co.jp/

工女宿~松本市歴史の里

松本市歴史の里には、製糸業を支えた工女たちが泊まった工女宿が移築保全されています。飛騨高山から信州を結ぶ野麦街道沿いの旧奈川村にあった「宝来屋」という屋号の宿ですが、宿といっても通常は農家のお家なんです。座敷が二つあり、囲炉裏も調理用と暖房用と作られています。板の間に布団を敷いて、工女たちは寝ていたのだとか。現金収入を得るために信州の製糸工場に出稼ぎに来ていた工女たち。ご案内くださった小原稔さんは「年末になると工場が閉じるので、1年間稼いだお金を持って、それから里帰りします。その時に女工たちが泊まっていたのがこの宿です。そして雪がとけて春になった5~6月ごろ、最初の蚕の出荷が農家から始まるんですが、そのころ工場に向かうのにまたこの宿に泊まるということが宿帳からわかります」と教えてくださいました。
 

 

他にも、旧昭和興業製糸場も移築されていて、工女たちがどんなところで働いていたかも知ることができます。成果がわかるように工夫された木札があったり、なかなか興味深いです。
産業遺産観光のポイントになる施設でした。

 
□ 松本市歴史の里 → http://www.matsu-haku.com/maruhaku/guide/rekishinosato/history.html
□ FDA フジドリームエアラインズ → http://www.fujidream.co.jp/

片倉館

信州=長野県は、製糸業で近代日本の発展を支えたところでもあります。映画や小説「ああ、野麦峠」あたりが、涙しちゃう話ですが馴染み深いところでしょうか。長野県の真ん中よりちょっと南よりにある諏訪湖のほとりに、通称千人風呂といわれる建物「片倉館」があります。昭和3年に完成したレトロな洋風建築で、国の重要文化財です。
 

日本初の洋風建築・温泉保養施設なんだそう。しかし、国の重要文化財のお風呂って、すごいですよねえ。一度にたくさんの女工さんたちが入れたことから「千人風呂」という通称になったようですが、この施設、女工さん専用に作られたわけではないそうなんです。片倉館の理事で館長の林正敏さんによると、「諏訪湖周辺の市民のために作られたんですよ。建物が完成してから一般営業を始めるまでに一年ほど要したのですが、その間は片倉関連の女工しか入れなかったので女工用と言われたりしますが、地元の人のためにというのが目的なんです。」とのこと。何でも二代目兼太郎社長が南北アメリカ大陸~ヨーロッパを視察旅行した時、ヨーロッパの農村などに完備されていた厚生施設に感銘して、自分の住む町にも作りたいと考えたそうです。当初は無料開放しようとしたけれど、周辺の浴場施設に迷惑がかかるので、財団法人として申請をして、その許可がおりるまでが一年。その間が女工専用になったそうです。「だから男風呂と女風呂の両方あるし、大きさも作りもまったく一緒で左右対称なだけです」と。肝心の浴槽は100人くらい入れる、中くらいのプール状態。深さは1.1m。身長165cmの私の胸の下あたりまでお湯がきます。立って半身浴してるようなもんですね。浴槽の底には玉砂利が敷いてあって、歩くと心地よい刺激が…。周りは大理石や飾りタイル、彫刻などが施され、生まれてはじめてのレトロお風呂体験。なんだか映画になったコミック「テルマエロマエ」っぽい?
この「片倉館」、建物が2つあって、一つはお風呂棟、もう一つが広間がある会館棟。会館棟はいくつも広間があって一般利用に貸し出しされています。なかでも2階にある200畳の大広間は大迫力。洋風な外観と廊下なのに、中にどーーーーんと畳の大広間!すごいバランス感覚ですよ。
信州の産業遺産観光、かなりおもしろいです。

 

 
□ 片倉館 → http://www.katakurakan.or.jp/index.html
□ FDA フジドリームエアラインズ → http://www.fujidream.co.jp/

養命酒駒ヶ根工場内遺跡

古代ロマンの旅と産業観光が同時に楽しめる稀有な場所が、養命酒駒ヶ根工場・健康の森です。ここには縄文、弥生、そして平安時代の遺跡が復元されています。遺跡をめぐる間に通る工場内の森がまたいい空気に満ちています。

すーすーする感じ。深呼吸が気持ちいいんですよねえ。緑の時期はもちろんですが、冬枯れの時期でも空気が凛としていて、いい気持ち。案内してくださった唐木さんも「ここは、働いていて健康を意識する環境ですねえ。目の前にそびえる中央アルプスを見て気持ちが切り替わります。季節ごとの木々や山の変化、それから肌で感じる変化…空気の違いもあります。ここで働くようになって五感が敏感になったような気がします。」と、おっしゃってました。ちなみに春は甘いような花の香りと新緑のみどりの香りがするそうです。夏は、あったかい風の中に工場内を流れる川のせせらぎからの冷たい風が混じってすがすがしい感じ。秋は冷え込み始めるんだけど温かみのある雰囲気になり、冬はツンとするような空気が気持ちがいいのだそうですよ。自然の力を感じながら、その自然の中で生まれる養命酒のできるまでを工場見学して、仕上げは健康の森のカフェで健康デザート!黒豆茶+黒糖+ハーブのスペシャルゼリーなど、食べておいしく、さらに健康というありがたい時間が手に入りますよ~。

  
□ 養命酒健康の森 → http://www.yomeishu.co.jp/forest/index.html
□ FDA フジドリームエアラインズ → http://www.fujidream.co.jp/

塩尻市・平出遺跡とキムタクごはん

信州=長野県は古代ロマンの旅をテーマにしてもおもしろいところです。おすすめの一つが塩尻市にある平出(ひらいで)遺跡。東西1km、15haの国史跡で、いろんな時代のものが出てくる複合遺跡です。遺跡のあとが平出遺跡公園になっていて、時代ごとの人間の営みの移り変わりが把握できます。小さめの吉野ヶ里歴史公園みたいな雰囲気なんですね。ご案内くださった平出遺跡博物館館長の小林康男さんは「“五千年にわたる平出の地”というのがキャッチフレーズなんですが、縄文時代から現代まで各時代ごとの痕跡が残っているんです。見渡せる範囲内で五千年来の人びとの生活が営まれ続けてきたというのは、そんなに多くはないと思います。」とおっしゃってました。また遺跡公園から山々を眺めながら「あの山なんて、縄文人好みですよねえ。なだらかで…。」なんて、おっしゃる。きっと山の形は変わってないでしょうから、そういう見方もおもしろいですね。また博物館には、弥生時代の銅鐸やドラえもんそっくりの土偶、奈良時代の高さ232cmの瓦塔なんてのもあり、見ていてこれまたおもしろいんです。

あわせて体験してみたのが、塩尻市の学校給食から生まれた「キムタクごはん」。別にSMAPのあの人とは関係ありません。キムチ+たくあんでキムタク、なんです。漬物が郷土食の長野県なのに子ども達があまり食べないので、何とかしたいなという栄養士さんの思いから生まれた塩尻メニューだそうです。キムチとたくあん、それから豚肉が乗っかったどんぶり状態で提供されます。そのまま食べても混ぜて食べてもいいみたいです。私は高速道路のみどり湖PAでいただきました。お土産用に「キムタクごはんの素」も売ってました。
 

□ 平出遺跡 → http://www.city.shiojiri.nagano.jp/tanoshimu/bunkazai/hiraideiseki/hiraideiseki.html
□ FDA フジドリームエアラインズ → http://www.fujidream.co.jp/

いわさきちひろ

今年は信州でオススメしたい物事が福岡にやってくる年みたいです(笑)。そのひとつが信州=長野県にゆかりの画家・いわさきちひろ。
まずはドキュメンタリー映画「いわさきちひろ~27歳の旅立ち~」が公開されています。ご本人の動画はないのですが、ちひろを知る50人の証言で彼女の人生や作品のベースになっているものを描き出しています。あのやわらかい絵の下に、中に、深くに、どんな思いがあるのか、少しわかった気がしました。また、彼女が主張し勝ち得た作者の権利、出版社から原画を返却させることや勝手に作品に手をいれないことなどが、後の製作者たちに恩恵を残してくれたということも知り、驚きました。
それから、北九州市立美術館・本館では「いわさきちひろ展 母のまなざし・子どもたちへのメッセージ」が開催されています(10月21日まで)。水彩画やデッサンなど約140点と、遺品や復元された自宅アトリエが展示されます。絵本や絵はがき、カレンダーなど印刷物でしかちひろ作品を見たことがない方、ぜひぜひお出かけください。
また、安曇野ちひろ美術館では11月30日まで「ちひろ・和の心~ちひろが描く“花鳥風月”~」が開催されます。できれば信州に出かけてちひろ作品にふれてほしいですね。あの澄んだ空気の中で感じるいわさきちひろの世界は格別です。また、小さいけどすわり心地のいい“ちひろ椅子”に座ってのティータイムも格別の時間です。ご案内くださった入口さんが「9400点もある作品を年4回入れ替えしてごらんいただいてます。作品としてのいわさきちひろの絵を楽しんでほしい」とおっしゃっていました。ちなみに長崎出身の入口さん、信州の雪山の美しさとおいしい水が何よりお気に入りだそうです。
  

□ 映画「いわさきちひろ~27歳の旅立ち~」 → http://chihiro-eiga.jp/
□ 「いわさきちひろ展」 → http://chihiro-kitakyushu.com/
□ 安曇野ちひろ美術館 → http://www.chihiro.jp/azumino/
□ FDA フジドリームエアラインズ → http://www.fujidream.co.jp/

上田城

信州上田は、戦国時代の名将たち真田一族ゆかりの地。戦国歴史ファンならずとも、その名を知っている人が多い真田幸村(大坂夏の陣で大活躍)の一族です。なお雪村というのは後年に使われるようになった名で、生きている間の名は真田信繁。その兄が信幸。後に、真田の名前をつなげていく(松代藩)人ですね。父は昌幸。このお父さんが上田城を作ったわけですが、この城、2度徳川勢を破っているんです。一度目はわずか2000人の兵で徳川8000人を退け、二度目は、関が原の戦いに向かう徳川秀忠勢38000人を、これまた2000人で足止め食らわせたのです。2度の実戦の歴史を持つ近世の城は他に例がないそうです。今は、建物は櫓くらいしか残ってませんが、石垣や堀に何ともいえない雰囲気を感じることができる、とっても魅力的な城跡です。そこにいるだけでロマンを感じられるとでもいいましょうか。真田昌幸の甲冑などが展示されている博物館もぜひ行きましょう。
 

 

そして、この上田城には「信州上田・おもてなし武将隊」というのがありまして、真田幸村と十勇士たちが日替わりで出迎えてくれるんです。私がおじゃました時にいたのは、根津甚八と望月六郎。水軍担当と補給係で火薬作り担当という御役目ですね。「見た目は若いが440歳」と言い張るお二方。観光客と記念撮影したりご案内をしてくれたり、時には「おいしいおそば屋さんは?」とか聞かれたり(笑)。上田城の魅力、根津さまは「謎に満ちているところですかな。本丸跡地といわれる場所はあるが、どんな建物があったかなかったかも不明。」とおっしゃいます。望月さまは「櫓門。特に、門の下にある広場から見上げる櫓門は美しく見ごたえがありますな」と、おっしゃってました。さらに、「上田城は緑が多くてマイナスイオン出まくり!ですからな」「雨上がりなぞ、遠くの山まできれいに見えるのでございます」とも。東京から来たお客さんが「きゃー。山近~!動いてる~!」と感動しまくったりしてるんですって~。

城内にある眞田神社も必見ですね。私、真田杉(境内にあったが倒木の危険性から伐採された)で作ったお守りをいただいてきました。推定樹齢450年っていうから、戦国時代=昌幸が上田城を築いた頃からあった杉かもしれませんよね~。また、大軍に攻められても堕ちない=落ちないということで、眞田神社のお守りは受験生にも人気だとか。
 

今は廃線になってますが、上田城のお堀跡には線路が引かれて、電車が走ってたんですって。
さらに県立の上田高校の門は上田藩主のお屋敷の門がそのまま使われています。すごい。
 

□ 信州上田観光情報 → http://www.city.ueda.nagano.jp/hp/sys/20100205184929576.html
□ 信州上田おもてなし隊 → http://sanada-bushoutai.com/
□ FDA フジドリームエアラインズ → http://www.fujidream.co.jp/